ア ン コ モ ン ライフ
uncommon life
長土の研究者たちはずっと、効率のよい霊電力変換の方法を探していたのだそうだ。霊電力変換自体はもともと存在している技術で、修法などによって可能なのだが、それでは大掛かりすぎて現実の現場レベルには応用がきかない。けれど急激な新入隊士の増加により、その実現が急務となっていたのだ。
隊士たちが肉体を持って活動する以上、どうしても電力は必要不可欠となってしまう。自家発電装置の備わった砦もあるのだが、燃料費の高騰により今は一般の送電力網を利用している。無断で、という訳にもいかないからもちろん支払いもする。これが日に日に膨れ上がり、今では尋常でない額となっている。
苦肉の策として一部の電子機器の電源を霊力対応へと改造したりして節制してはいるが、とても追いつくものではない。
とにかく変換器さえあれば、そのどちらをもしないですむのだ。安定した霊力源さえ確保できれば、無尽蔵の電力を確保できるのと同じ意味になるからだ。
だから、浮かれきっていた田所を長土へと呼び寄せた研究者たちは、毎日毎日さまざまな検査やテストを強要してきた。その忙しいスケジュールの割には退屈な毎日に、田所がどうやってそれから逃れようかと必死に考え始めた頃、やっと田所の血液に変換のヒントを見つけた研究者たちは、試作器の製作に取り掛かることとなった。
が、問題は『安定した霊力源』の確保だ。
研究者たちは宿毛砦に保管されている、『シバテンの首』に目をつけた。それはかなり大きな念の篭った何かの生物の首なのだが、これを楚体として変換器に埋め込むことができれば、間違いなく安定した霊力源となる。
『シバテンの首』は小源太が念大砲にでも加工しようと大切に取って置いたものだったのだが、開発部を敵に回してしまっては、大砲どころか念鉄砲のひとつも作ってもらえなくなってしまう。泣く泣く首を手放した小源太は、試作器製作のための場所まで提供することとなってしまった。その試験場施設は、いま田所のいる武器工場からすぐ近くの場所にあり、完成した試作器があとは楚体を埋め込むだけの状態で置かれている。
霊電力変換のヒントさえ得られればもう用はないとばかりにとっとと宿毛へと返された田所は、試作器製作が近くで行なわれると聞いて、なんとか自分もプロジェクトに参加させて欲しいと頼み込んだ。
もう単なる工場員でいるのが嫌になってしまったのだ。生前も機械の組み立て工場でアルバイトをしていた田所だ。自分には何の取り得もないと思っていたから文句のひとつも言えなかったが、今は特殊な能力があるとわかってしまった。もう、うだつの上がらない仕事はやりたくない。
自分の身体の能力が装置開発を前進させたことを強みにして、プロジェクト参加の許可を取り付けた。
そこからはとんとん拍子でうまくいき、今は田所も開発の主要メンバーとして認められるようになっている。
田所としてもこの際だから、プロジェクトの進行に一枚どころか二枚も三枚もかんで、日本の霊具製造界(?)に名を残してやろうと気合十分で挑んでいるのだ。
隊士たちが肉体を持って活動する以上、どうしても電力は必要不可欠となってしまう。自家発電装置の備わった砦もあるのだが、燃料費の高騰により今は一般の送電力網を利用している。無断で、という訳にもいかないからもちろん支払いもする。これが日に日に膨れ上がり、今では尋常でない額となっている。
苦肉の策として一部の電子機器の電源を霊力対応へと改造したりして節制してはいるが、とても追いつくものではない。
とにかく変換器さえあれば、そのどちらをもしないですむのだ。安定した霊力源さえ確保できれば、無尽蔵の電力を確保できるのと同じ意味になるからだ。
だから、浮かれきっていた田所を長土へと呼び寄せた研究者たちは、毎日毎日さまざまな検査やテストを強要してきた。その忙しいスケジュールの割には退屈な毎日に、田所がどうやってそれから逃れようかと必死に考え始めた頃、やっと田所の血液に変換のヒントを見つけた研究者たちは、試作器の製作に取り掛かることとなった。
が、問題は『安定した霊力源』の確保だ。
研究者たちは宿毛砦に保管されている、『シバテンの首』に目をつけた。それはかなり大きな念の篭った何かの生物の首なのだが、これを楚体として変換器に埋め込むことができれば、間違いなく安定した霊力源となる。
『シバテンの首』は小源太が念大砲にでも加工しようと大切に取って置いたものだったのだが、開発部を敵に回してしまっては、大砲どころか念鉄砲のひとつも作ってもらえなくなってしまう。泣く泣く首を手放した小源太は、試作器製作のための場所まで提供することとなってしまった。その試験場施設は、いま田所のいる武器工場からすぐ近くの場所にあり、完成した試作器があとは楚体を埋め込むだけの状態で置かれている。
霊電力変換のヒントさえ得られればもう用はないとばかりにとっとと宿毛へと返された田所は、試作器製作が近くで行なわれると聞いて、なんとか自分もプロジェクトに参加させて欲しいと頼み込んだ。
もう単なる工場員でいるのが嫌になってしまったのだ。生前も機械の組み立て工場でアルバイトをしていた田所だ。自分には何の取り得もないと思っていたから文句のひとつも言えなかったが、今は特殊な能力があるとわかってしまった。もう、うだつの上がらない仕事はやりたくない。
自分の身体の能力が装置開発を前進させたことを強みにして、プロジェクト参加の許可を取り付けた。
そこからはとんとん拍子でうまくいき、今は田所も開発の主要メンバーとして認められるようになっている。
田所としてもこの際だから、プロジェクトの進行に一枚どころか二枚も三枚もかんで、日本の霊具製造界(?)に名を残してやろうと気合十分で挑んでいるのだ。
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